PETER, PAUL AND MARY

 

PETER, PAUL AND MARY
MOVING
IN THE WIND
IN CONCERT
A SONG WILL RISE
SEE WHAT TOMORROW BRINGS
ALBUM
IN JAPAN
ALBUM 1700
LATE AGAIN
PETER, PAUL AND MOMMY
LIVE IN JAPAN, 1967

 

PETER, PAUL AND MARY  (WARNER BROS. RECORDS:1962年)  2003年12月7日(日)

  1 Early in the Morning
  2 500 Miles
  3 Sorrow
  4 This Train
  5 Bamboo
  6 It's Raining
  7 If I Had My Way
  8 Cruel War
  9 Lemon Tree
 10 If I Had a Hammer
 11 Autumn to May
 12 Where Have All the Flowers Gone?
 いわゆる洋楽を聴くようになったきっかけは、ビートルズでもベンチャーズでもなく、実はピーター、ポール&マリーの「朝の雨」という曲である。
 ピーター、ポール&マリー(PP&M)の特徴は、ピーターの澄んだ高音、ポールの癖のある低音、そしてマリーの女声による対位法的なコーラスと、ピーターのフォークギター、ポールのガットギターによるギターアンサンブルにある。プロテストソングも歌っているが、基本的な姿勢は芸術至上主義である。
 これは1962年のデビューアルバムであり、奇しくもビートルズのデビューと同年である。昔懐かしい赤い透明盤。PP&Mのアルバムはそれぞれ特色があるが、このデビューアルバムは、初々しくて、シンプルで、薫りたつような上品さが漂っている。「レモン・トゥリー」、「ハンマーを持ったら」、「花はどこへ行った」、「500マイルもはなれて」はフォークのスタンダード。オリジナル版の「悲惨な戦争」もマリーの高音が美しい。それにしても、買い集めていたギター譜はどこへ行ったんだろう。

 

MOVING  (WARNER BROS. RECORDS:1963年)  2014年10月12日(日)

  1 Settle Down (Goin' Down That Highway)
  2 Gone The Rainbow
  3 Flora
  4 Pretty Mary
  5 Puff, The Magic Dragon
  6 This Land Is Your Land
  7 Man Come Into Egypt
  8 Old Coat
  9 Tine Sparrow
 10 Big Boat
 11 Morning Train
 12 A'Soalin'
 PP&Mのデビュー2作目のアルバム。何といっても、彼らの代表曲「パフ」が収録されている。スタンダードな曲としては、「虹とともに消えた恋」、「わが祖国」。前者も彼らの代表曲といえる。ほかに、マリーさんの歌とギターのアルペジオが魅力的な「ちっちゃな雀」、ポールのギターが驚異的な「ア・ソーリン」が入っている。驚くことに、擦り切れるほど聴いていたはずなのに、ほかの曲はあまり印象がなくて新鮮に聴こえた。ギターでコピーする曲だけ熱心に聴いていたのかもしれない。かわいいタイトルがついていても、シニカルな歌詞の曲が多い。それと、PP&Mって意外とゴスペルが多かった。

 

IN THE WIND  (WARNER BROS. RECORDS:1963年)  2014年10月19日(日)

  1 Very Last Day
  2 Hush-A-Bye
  3 Long Chain On
  4 Rocky Road
  5 Tell It On The Mountain
  6 Poly Von
  7 Stewball
  8 All My Trials
  9 Don't Think Twice, It's Alright
 10 Freight Train
 11 Quit Your Low Down Ways
 12 Blowin' In The Wind
  PP&M3枚目のアルバム。シングルヒットした「くよくよするな」と「風に吹かれて」のほか、「クイット・ユア・ロウ・ダウン・ウェイズ」とボブ・ディランの曲が3曲取り上げられている。PP&Mの「風に吹かれて」のヒットで、ボブ・ディラン自身フォークシンガーとしてメジャーな存在になったそうだ。ほかに、童歌の「ハッシャ・バイ」、ゴスペルの「ヴェリー・ラスイトデイ」、「私の試練」などが入っている。PP&Mのギターというと、スリーフィンガーピッキング、アルペジオ、コードストロークと単純な感じだが、このアルバムではオブリガートやハーモニックス、いろんな技法が入っていて、こんなのコピーしたのかなと思い出せない。

 

IN CONCERT  (WARNER BROS. RECORDS:1964年)  2014年12月19日(金)

 1 The Times They Are A Changin'
  2 A'Soalin'
  3 500 Miles
  4 Blue
  5 Three Ravens
  6 One Kind Favor
  7 Blowin' In The Wind
  8 Car-Car
  9 Puff, The Magic Dragon
 10 Jesus Met A Woman
  1 Le Deserteur
  2 Oh, Rock My Soul
  3 Paultalk
  4 Single Girl
  5 There Is A Ship
  6 It's Raining
  7 If I Had My Way
  8 If I Had A Hammer
 PP&M通算4枚目のアルバムは、2枚組のライブアルバム。MCはおもしろいし、ライブ感があって楽しい。アルバム未収録の曲は18曲中11曲。「時代は変わる」と「井戸端の女」は、PP&Mの代表曲の一つと言えるだろう。「ゼア・イズ・ア・シップ」は、「ちっちゃな雀」、「愛は面影の中に」と並んでマリーさんの3大バラードと言える曲。「ブルー」はロックンロールを茶化しておもしろい。「三羽の烏」はPP&Mがよく取り上げているイギリス系のバラード。「ワン・カインド・フェイヴァー」はギターがブルースっぽくてすごいし、「シングル・ガール」のポールのギターはジャズっぽくて感じがいい。「ロック・マイ・ソウル」でのオーディエンスの盛り上げ方もうまい。アルバム収録曲では、「500マイルも離れて」はコード進行に変化を入れて良くなっているし、他の曲もコーラスやギターはライブでも完璧だ。それにしても、マリーさんのヴォーカルは低音から高音まですごい。

 

A SONG WILL RISE  (WARNER BROS. RECORDS:1965年)  2014年10月26日(日)

  1 When The Ship Comes In
  2 Jimmy Whalen
  3 Come And Go With Me
  4 Gilgarry Mounttain
  5 Ballad Of Spring Hill
  6 Motherless Child
  7 Wasn't That A Time
  8 Monday Morning
  9 The Cuckoo
 10 San Francisco Bay Blues
 11 Talkin' Candy Bar Blues
 12 For Lovin' Me
 PP&Mの4枚目のアルバム「A SONG WILL RISE」。ヒット曲もフォークのスタンダードナンバーもないが、前3作で人気が定着しているので、意欲的なアルバムとなっている。2つのゴスペルを結合した「カム・アンド・ゴー・ウィズ・ミー」、ジェームス・テイラーも取り上げている「マンデイ・モーニング」、スリーフィンガーピッキングがかっこいい「カッコー鳥」、エリック・クラプトンが「アンプラグド」で歌っている「サンフランシスコ湾ブルース」などは、ファンの間では人気の高い曲だと思う。このアルバムから3人のソロ曲が収録されていて、ピーターは脱力系の「ギルギャリー・マウンテン」、ポールは今のラップにつながる「トーキング・キャンディー・バー・ブルース」、そしてマリーは名曲「母のない子」を歌っている。イギリス系のトラディショナルソングが多いのも特徴だ。PP&Mっていうのはフォークとイメージする以上に、ゴスペル、ジャズ、ブルース、といろんな曲を演奏していて、ギターも結構難しい。

 

SEE WHAT TOMORROW BRINGS (WARNER BROS. RECORDS:1965年)
 
2008年11月3日(月)

  1. If I Were Free
  2. Betty and Dupree
  3. Rising of the Moon
  4. Early Morning Rain
  5. Jane Jane
  6. Because All Men Are Brothers
  7. Hangman
  8. Brother, Can You Spare a Dime?
  9. First Time Ever I Saw Your Face
 10. Tryin' to Win
 11. On a Desert Island (With You in My Dreams)
 12. Last Thing on My Mind
 モダン・フォーク・トリオ、PP&M5枚目のアルバム。洋楽を聴くようになったきっかけが、4曲目の「Early Moring Rain(朝の雨)」、ゴードン・ライトフットの名曲だ。一方が長調、一方が単調を弾くことで微妙な響きを出すギター、ニヒルなポールのヴォーカルとコーラスごとにパターンが変化する対位法的なハーモニー。中学生の頃、初めて聴いて一瞬でジーンとしびれてしまった。7曲目「Hangman」はスリー・フィンガー・ピッキングが決まった曲。9曲目「First Time Ever I Saw Your Face」はロバータ・フラックでヒットした曲だが、こちらのほうが薫り高い。5曲目「Jane Jane」は2つの童歌を組み合わせたPPMらしい曲。このアルバムにはリズム&ブルース色が出てきているが、「Betty and Dupree」もそんなノリのいい曲。アルバムタイトルは、この歌詞からとられたものだ。
 秋風に乗ってフォークが聴こえてくる。そんな秋の一日。

 

ALBUM (WARNER BROS. RECORDS:1966年)
 
2014年11月28日(金)

  1 And When I Die
  2 Sometime Lovin'
  3 Pack Up Your Sorrows
  4 The King Of Names
  5 For Baby (For Bobbie)
  6 Hurry Sundown
  7 The Other Side Of This Life
  8 The Good Times We Had
  9 Kisses Sweeter Than Wine
 10 Norman Normal
 11 Mon Vrai Desitin
 12 Well, Well, Well
 4枚目のアルバムあたりから、カントリー、ブルースを取り上げて、たぶんゲストミュージシャンのリードギターを入れたりしていたが、このアルバムでは大きくポップスの世界に踏み込んでしまっている。当時はわからなかったが、マイク・ブルームフィールド、ポール・バターフィールド、アル・クーパーなどがゲストで演奏している。取り上げている作品も、ローラ・ニーロ、ジョン・デンバーなど、フォークからシンガー・ソング・ライターへと変わっている。時代そのものが変化していたのだった。このアルバムには、本当に美しすぎる曲、かっこよすぎる曲が多い。ハーモニカ、ピアノが入った「サムタイム・ラヴィン」、木管楽器の音が美しい「グッド・タイムス」、フランス語でギターのハーモニックスを多用した「鐘の音にみちびかれて」、ティファナブラス風の「ハリー・サンダウン」、ほろ苦い「ワインより甘いキッス」、ゴスペル風の「ウェル、ウェル、ウェル」、R&Bっぽい「人生の裏側」。ドラムやほかの楽器もが入っても、単なるさわやかフォーク・ロックにならないところが、さすがPP&Mだ。

 

IN JAPAN (WARNER BROS. RECORDS:1967年)
 
2014年12月22日(月)

  1 Sometime Lovin'
  2 No Other Name
  3 The Other Side Of This Life
  4 Good Times We Had
  5 Paul Talk
  6 Puff, The Magic Dragon
  7 Serge's Blues
  8 For Baby (For Bobbie)
  9 If I Had My Way
 10 Don't Think Twice It's Alright
 11 If I Had A Hammer
 12 This Land Is Your Land 
 1967年の日本公演のライブ盤。日本の聴衆の反応が悪いということで、通訳のMCが入っている。直前の「ALBUM」からの曲が「サム・タイム・ラヴィン」、「人生の裏側」、「グッド・タイムス」、「フォー・ベイビー」の4曲、次のアルバムに収録されたのが「ノー・アザー・ネイム」。「パフ」はピーターが一人で聴衆に歌わせる。当時は気づかなかったが、このライブ盤は5曲がソロだ。「ドント・シンク・トワイス」は高校のギター研究会の先輩がオリジナルアルバムの演奏よりいいと言っていた曲。ラスト、「イフ・アイ・ハド・マイ・ウェイ」と「ハンマーを持ったら」は「イン・コンサート」でもラストを飾っていたデビューアルバムからの力強い曲。「わが祖国」では最後に日本の地名を入れている。それにしても、やはりマリーさんの声はすごい。ソロの曲では低音でハスキーだが、コーラスだととんでもなくかん高く力強い声を出す。

 

ALBUM 1700 (WARNER BROS. RECORDS:1967年)
 
2014年12月5日(金)

  1 Rolling Home
  2 Leaving On A Jetplane
  3 Weep For Jamie
  4 No Other Name
  5 House Song
  6 The Great Mandella (The Wheel Of Life)
  7 I Dig Rock And Roll Music
  8 If I Had Wings
  9 I'm In Love With A Big Blue Frog
 10 Whatshername
 11 Bob Dylan's Dream
 12 The Song Is Love
 この頃からリアルタイムで聴くようになっていて、友達か誰かの家で立派なステレオで聴かせてもらった記憶がある。「ロック天国」がシングルで発表されてかなり話題になった。ママス&パパス風のコーラスがきれいで、風刺が効いていておもしろい。ジョン・デンバーの作品「悲しみのジェット・プレーン」はなぜか2年後シングルカットされて全米1位のヒットとなった。「ノー・アザー・ネイム」はマリーが切々と歌う名曲で、「ハウス・ソング」、「あの娘の名前は」とともにポールの作曲能力が発揮されている。バロック調の「ウィープ・フォー・ジェイミー」、東洋風の「グレイト・マンデラ」もひきつけられる。「ボブ・ディランの夢」も本人が歌うよりは魅力的な曲になっている。前作は全体的にポップス寄りになっていたが、このアルバムではアコースティックギター中心の曲も増えている。アルバムジャケットは「ボニー&クライド」をもじったものらしいが、当時は日本公演の写真を使ったものだった。

 

LATE AGAIN (WARNER BROS. RECORDS:1968年)
 
2014年12月12日(金)

  1 Apologize
  2 Moments Of Soft Persuasion
  3 Yesterday's Tomorrow
  4 Too Much Of Nothing
  5 There's Anger In The Land
  6 Love City (Postcards To Duluth)
  7 She Dreams
  8 Hymn
  9 Tramp On The Street
 10 I Shall Be Released
 11 Reason To Believe
 12 Rich Man Poor Man
 このアルバムも持っていたはずだが、改めて聴いてみたら驚くことにほとんど聞き覚えがない。かろうじて記憶しているのは、ボブ・ディランの作品で「素敵なロックンロール」という邦題でシングルカットされた「トゥー・マッチ・オブ・ナッシング」、同じくボブ・ディランの「アイ・シャル・ビー・リリースト」、ティム・ハーディングの「リーズン・トゥ・ビリーブ」ぐらいのもの。それも、もっとシンプルな音だったような気がする。ビートルズっぽい音楽をやりたいというポールの志向が強く反映されたそうで、ギターの弾き語り的要素はほとんどないし、音の使いすぎでコーラスも前面に出てこない。エルビン・ビショップ、ハービー・ハンコック、ジョン・サイモン、チャーリー・マッコイなどが参加しているそうだ。

 

PETER, PAUL AND MOMMY (WARNER BROS. RECORDS:1969年)
 
2014年12月26日(月)

  1 The Marvelous Toy
  2 Day Is Done
  3 Leatherwing Bat
  4 I Have A Song To Sing, O!
  5 All Through The Night
  6 It's Raining
  7 Going To Zoo
  8 Boa Constrictor
  9 Make-Believe Town
 10 Mockingbird
 11 Christmas Dinner
 12 Puff (The Magic Dragon)
 解散前最後のアルバムになってしまった。子供のためのアルバムで、演奏もフォークソング・スタイルに戻っている。子供たちの歌声が入ったライブ録音の曲も収録されている。「不思議なおもちゃ」と「動物園へ行こう」はフォークシンガー、トム・パクストンの作品で、「動物園へ行こう」は邦訳されて子供番組などでよく歌われていた。「デイ・イズ・ダン」と「メイク・ビリーヴ・タウン」はピーターのオリジナルで、「デイ・イズ・ダン」はシングルヒットしている。「クリスマス・ディナー」はポールの作曲で、ポールらしいセンチメンタルな曲だ。「オール・スルー・ザ・ナイト」、「モッキンバード」はスタンダードな曲で、たぶんほかのアーティストの演奏でも聴いていると思う。PP&Mの持ち歌からは、「パフ」と「雨降り」が収録されている。「パフ」は子供たちの歌声も入ったライブ録音。この翌年、解散してしまった。

LIVE IN JAPAN, 1967 (WARNER BROS. RECORDS:2012年)
 
2015年1月9日(金)

  1 Sometime Lovin'
  2 No Other Name
  3 The Other Side Of This Life
  4 Good Times We Had
  5 Paul Talk
  6 Puff, The Magic Dragon
  7 Serge's Blues
  8 For Baby (For Bobbie)
  9 If I Had My Way
 10 Don't Think Twice It's Alright
 11 If I Had A Hammer
 12 This Land Is Your Land
  1 When The Ship Comes In
  2 500 Miles
  3 Lemon Tree
  4 Gone The Rainbow
  5 Hurry Sundown
  6 Well, Well, Well
  7 San Francisco Bay Blues
  8 It's Raining
  9 And When I Die
 10 Where Have All The Flowers Gone
 11 Blowin' In The Wind
 12 The Times They Are A'Changin'
 結成50周年記念のリマスター盤制作の過程で見つかった日本公演の音源を収録したCD。1枚目は従来の「IN JAPAN」で、2枚目が未発表曲。「ハリー・サンダウン」、「ウェル、ウェル、ウェル」、「アンド・ホエン・アイ・ダイ」は前作「アルバム」からで、ほかの9曲は既発表のアルバムからで、ベストアルバムと言っていい内容。「レモン・トゥリー」や「サンフランシスコ・ベイ・ブルース」はギターの奏法がふだんのスリーフィンガー・ピッキングやアルペジオとは違うから、コピーバンドには興味津々だったに違いない。「アンド・ホエン・アイ・ダイ」のマリーさんのヴォーカルは、フォークというよりはシンガー・ソング・ライターという感じだ。「雨降り」では何かハプニングがあったのか、笑いをこらえている様子が聞こえる。「ウェル、ウェル、ウェル」や「時代は変わる」は3人の熱唱、特にマリーさんの高音がすごい。「虹と共に消えた恋」はその頃日本独自にシングルカットされて、「シュール・シュール・シューラルー」というリフレインがヒットしていた。