逢坂剛

カディスの赤い星      

カディスの赤い星 2003年11月21日(金)
 PR事務所を経営する漆田が顧客の楽器メーカーに呼び出されると、消費者団体から欠陥ギターの写真が持ち込まれていた。調査・交渉を依頼されるが、さらにスペインのギター製作者を招いてイベントを開催するという大きな仕事も控えている。これだけでもストーリーはできてしまいそうだが、さらに来日したギター製作者にある日本人ギタリスト探しを頼まれる。時代は1975年、日本では過激派がまだ活動し、スペインではフランコ政権が揺れ動いている。探索を進めるうちに、過激派やスペインの秘密警察が絡んできて、ついにスペインまで行くことになる。そこから先は、スペインの民主化闘争に巻き込まれた一大アクションとなる。おもしろく読めたし、アンダルシア、グラナダ、コルドバ・・・、スペインやポルトガルにも行きたくなった。
 作者は当時、博報堂の社員であった。直木賞、日本推理作家大賞、日本冒険小説協会大賞を同時受賞した大作である。