大村友貴美

首挽村の殺人      

首挽村の殺人 2011年1月2日(日)
 岩手県の雪深い山村、鷲尻村の診療所に滝本志門は赴任してきた。事故死した、友人であり妹瑠華の婚約者だった杉聡一郎の後任としてだった。その直後、霊安寺の住職保呂岩謙称が熊の罠にかかって亡くなり、続いて産廃会社の社長で村会議長の沢下実の変死体が発見される。二人とも杉の事故死に疑問を抱いていたという。さらに、村には巨大な赤熊が出没しており、熊による死者も出ていた。
 医師の事故死の謎、辺鄙な村のむかし噺をなぞった連続殺人に、伝説の人食い熊。町村合併や産廃問題での対立、とかなり興味深い。意外な容疑者、さらにどんでん返しの真犯人。まさに横溝正史ミステリ大賞という感じの作品だった。