荻原規子

空色勾玉      

空色勾玉 2011年9月11日(日)
 天地のはじめ、国生みをした男神と女神は豊葦原の中つ国を生み、国中を八百万の神々でみたした。最後に女神は火の神を生み、その火傷がもとで黄泉の国へ隠れた。男神は火の神を斬りすて、死の国へ向かったが、女神のかわりはてた姿に地上に逃げ帰り、線引きの岩で通い地を塞いだ。そのときから神々は天上と地下に分かれて憎みあうようになった。男神、高光輝の大御神の不死の子照日王と月代王は、八百万の神を一掃し、すべてを支配しようとしていた。
 拾われて養父母のもとで十五になった狭也の前に怪しい男三人と男の子、老婆が現れて、狭也のことを闇御津波の大御神に仕える狭由良姫の生まれかわりで水の乙女の継承者だと言うのだった。祭りの夜、偶然月代王に出会った狭也は、采女としてまほろばの宮へ呼ばれる。
 日本神話に基づいたファンタジー。日本児童文学者協会新人賞受賞作。