小川糸 |
食堂かたつむり |
食堂かたつむり 2010年2月28日(日) |
トルコ料理店でのアルバイトを終えて家に戻ると、部屋の中がもぬけの殻だった。買いそろえた台所道具も、押し入れに保管していた飲食店の開店資金も、同棲していたインド人の恋人がなにもかも持ち逃げしていた。ショックで声が出なくなった倫子は、小銭しか残っていないバスケットを持って深夜の高速バスで実家へ帰る。折り合いの悪い母を嫌って、中学を卒業した後東京の祖母のもとで料理を教わるようになった倫子には料理しかなかった。物置小屋を借りて、食堂を開くことにした。地元の食材を使って、一日一組だけのお客のためにメニューを作る。小学校の臨時職員だった熊さんの助けを借りて、「食堂かたつむり」は開店し、食堂かたつむりの料理を食べると恋や願いことが叶うという噂が伝わっていった。 大ベストセラーらしい。突然消えた恋人のこととか、その日のうちに実家へ帰ることとか、あまりにも天才料理人であることとか、意外と高級食材を使っているじゃないかとか、店の経営が成り立つのかとか、話がうまく進み過ぎることとか、リアリティには大いに欠けるところはあるが、ストーリーはおもしろい。若い女性のためのメルヘンといったところだろうか。「番外編チョコムーン」は余計だ。気持ち悪かった。 |