野中ともそ |
パンの鳴る海、緋の舞う空 |
パンの鳴る海、緋の舞う空 2005年1月10日(月) |
舞台はニューヨーク。グレゴリーはクラブで女あさりをする黒人。つまらない女をひっかけ同居し始めてから、心に空虚を感じ出す。これまでのようにクラブへ行ってもつまらないし、好きでもない女と暮らしているやましさとか。そんな時新聞の個人広告を見つけて、そこでまた女あさりを始め
、ある時「スティールドラムが好きな男性」という広告を見て、電話をかけてみる。 マヤは、ニューヨークでひとり暮らしている。通ってくる恋人がいるし、個人広告で適当に相手を見つけたりもしている。東京で音楽関係の仕事をしていた頃、同僚に言い寄られ、本気でもなく付き合いだすが、離れられなくなった頃には相手は音楽の仕事にのめりこんだ末、女も仕事も捨て て逃げ出した。 という「もう人を愛せないほどの傷」を負った二人が、新聞広告と電話で出会い、トリニダッド・トバコで会うことになる。イラストレーターでも ある作者の文章は色彩感あふれる感じのいいものだが、帯の言葉に「どこが?」と思わずにいられない。小説すばる新人賞受賞作。 |