仁木英之

僕僕先生      

僕僕先生 2011年1月18日(火)
 唐の光州、二十二歳の青年王弁は、役人だった父の財産で一生暮らしていけることを知ると、勉学も武術もやめて、安逸な生活を送っていた。ある日、引退後道術探求に励んでいた父から、黄土山に近年仙人が住んでいるので、供物を持って行くよう頼まれる。訪ねて行くと、庵の屋根に座っている人物は、まだ十代半ばにしか見えない少女だった。その少女は、性は僕、名も僕と名乗った。その少女は、王弁には仙骨はないが、仙縁はありそうだと言う。王弁は僕僕のところへ通い始めた。
 魅力的な仙人と怠惰な青年の冒険物語。キャラクター的が魅力的だし、僕僕と王弁の微妙な関係もおもしろい。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。