夏川草介

神様のカルテ      

神様のカルテ 2011年12月13日(火)
 栗原一止は、信州の地方都市の病院に勤務する内科医。『草枕』を愛読し、話しぶりが古風なので変人と思われている。彼が当直に入るとなぜか救急患者が殺到する。内科部長の大狸先生、副部長の古狐先生、有能で美人の看護師長外村さん、医学部時代からの腐れ縁の外科医の砂山たちと診療に追われる毎日。妻の榛名は一見華奢な少女だが、世界を飛び回る山岳写真家。我が家「御嶽荘」はかつて旅館だった古びた木造家屋で、鬼才の絵描き「男爵」、大学院の博士課程でニーチェを研究している「学士殿」と酒宴を開いている。そして、栗原は母校の大学病院の医局から誘いを受けていた。
 患者との時には愉快で時に悲しい交流。砂山の恋愛、「学士殿」の事件、石や看護師がいやされていた患者の死。そして栗原の決断。おもしろかった。本屋大賞第2位で映画化された作品。 ただ、登場人物が皆ある意味超人であり、そういった点ではマンガ的でもある。