那須正幹

ぼくらは海へ

ぼくらは海へ　2010年9月17日（金）

誠史､雅彰､勇、邦俊は、塾へ通う小学６年生。近道のうめ立て地に小屋を見つけて過ごすうち、塾へ通っていない嗣郎も加わるようになる。勇が船をつくろうと言い出し、夏休みまでに作って、休みになったら海へ出ようとする。誠史は幼い頃父がなくなって、ほとんど祖母に育てられ、母からはいい大学へ入っていい会社へ入るようにと言われてきた。雅彰の妹はぜんそくで、父は自分の責任と思って不機嫌だし、母もつまらない冗談を言い、そんな家族にうんざりしていた。勇の父は銀行員で転勤が多く、勇も慣れて、すぐ友達はできるが前の友達のことはすっかり忘れているのだった。那俊の父は病院の事務長で､看護婦と浮気をしてて家族は皆知っていて､仲のいい家族を装って暮らしていた。嗣郎の父は大工の仕事をさぼって遊ぶようになり、家にも金を入れていなかった。 　子供たちのひと夏の冒険のはずだったが、思いがけない事故が起こり、それぞれの挫折をかみしめることになる。そして、ラストもおそらくハッピーエンドではないだろう。思ったより重い作品だった。