中園直樹 |
オルゴール |
オルゴール 2004年6月17日(木) |
妹への誕生日プレゼントを買いにデパートへ行き、買おうと思ったオルゴールの前に行くと、同い年ぐらいの少年がじっとそのオルゴールを見ていた。それが「ぼく」と吉田克己君との出会いだった。付き合っていくうちに、吉田君はクラスでいじめ
にあい、さらに放課後や休日も一人の同級生に虐待されているということがわかる。 この作品の評価は難しい。作者はいじめや自殺未遂を経験し、その体験から子供たちを一人でも救いたいという思いでこの作品を書き、一人でも多くの中高校生に読んでもらいたい、そのためには図書館に置いてもらい、読書感想文の対象にしてもらい、教科書に載せたもらいたいという希望を持っていたのだそうだ。確かに、物語の中にはいじめられた子供にしかわからない心の動きが描かれているのかもしれない。しかし、自分の子供時代を振り返ると、ひねた子供としてはここまでストレートに言えるのかなという感じで、小学校低学年向きかなと思ってしまう。やはり、子供に読んでもらいたい本という評価しかできない。高校生の子供にこれを読んで感動したとか言われたら、うれしいだろうか、それともがっかりするだろうか。 |