中嶋博行

検察捜査      

検察捜査 2007年2月27日(火)
 法制審議会の委員を務める大物弁護士西垣が、自宅でリンチを受けたかのような姿で惨殺された。横浜地検の若い女性検事岩崎が事件を担当することになり、神奈川県警とのあつれきを感じながらも、恨みの線から西垣が扱った裁判記録を調査する。一方、東京高検司法部長森本は、岩崎の上司佐伯を通して岩崎の捜査状況を注視していた。そして、岩崎は裁判記録から西垣が同じ派閥の弁護士から訴追されたり、懲戒申立を受けていた事実をつきとめた。
 現役弁護士が書いているだけあって、検察、警察、弁護士、裁判所の内実、対立が描かれていて、おもしろくて一気に読んでしまった。犯行の真相には、そこまでやるかというマンガ的な部分はあるが、もともとフィクションだからそれはいいとしても、女性検事と検察事務官の関係は作りすぎという感じもする。江戸川乱歩賞受賞作。テレビでやっているあの女検事シリーズかと思ったが、あちらは夏樹静子だった。