凪良ゆう

流浪の月      

流浪の月 2022年6月3日(金)
 自由奔放な両親に育てられて変わり者扱いされていた更紗だが、父が亡くなり、母が新しい恋人と家を出て行き、伯母に引き取られたが、そこの息子が夜な夜な部屋に忍び込むようになる。新しい小学校の友達と公園で遊んでいると、いつも若い男がベンチに座ってこちらを見ていて、ロリコンと呼ばれていた。皆と別れた後一人公園に戻ると雨が降ってきて、その男が声をかけてきた。「うちにくる?」と聞かれて「いく」と答えた。男は佐伯文といった。厳格な母に育てられた文は大学生だが、規則的な生活をしていたが、更紗がそのペースを乱していく。ある日パンダを見たいと動物園へ行くと、周りの人間が行方不明の少女に気がついて警察を呼び、更紗は保護され、史は逮捕された。養護施設を出た更紗はファミリーレストランで働いていた。ある日、職場の仲間に誘われて入ったカフェのキッチンにいるマスターは文だった。それから更紗は一人でその店に通うようになり、同棲している亮がその行動を疑う。
 冒頭のシーンは何だろうと思うが、そのうちわかってくる。そうすると文の秘密というのは何なんだろうと思ってしまう。更紗にとって史との日々は幸福な思い出だったが、事件を知る誰もがわかってくれない。文も同じだった。本屋大賞受賞作で、映画化された話題作。