長沢樹 |
消失グラデーション |
消失グラデーション 2014年3月21日(金) |
《僕》、椎名康は藤野学院高校のバスケ部員だが、試合の出場はなく、放送部の樋口真由と一緒に試合のビデオ撮影係をしている。僕は素行不良が知れ渡っているし、クラスメートの樋口は前の学校で問題を起こしていた。女子バスケ部の網川緑はエースでモデルの仕事もしていたが、チームから浮いていて退部しようとしていた。屋上でリストカットしようとしていた網川を見かけて、救急箱を取りに行く間に網川は転落し、助けようとした僕は首を絞められて意識を失い、気がつくと上半身裸で、網川の姿はなくなっていた。僕は樋口と転落と消失の謎に挑む。 犯人(?)も、方法も動機も、消失の謎も、真相は全く思いもかけないもの。何より、彼、彼女の正体にはびっくり。かなり乱れた関係だなと思っていたが、わかってみればそれほどいやらしくはない。椎名が過剰な保護を受けるのも納得。 バスケ部ならありうるかなと思う。「男子生徒と対峙するように、不機嫌そうな女子生徒。現場を押さえた側と、抑えられた側」とか「よくできた長女」とか、伏線が張られていた。久し振りにびっくりさせられた 学園ミステリー。舞台は北大泉公園と樹林公園に隣接、といえばあの辺。昔住んでいた中村橋や東久留米も登場するので、実感が持てる。横溝正史 ミステリ大賞受賞作。 |