永井するみ |
隣人 |
隣人 2017年8月15日( 火) |
「隣人」:美由紀は猫のサシーがいるだけで幸福だったが、夫の幸介は猫を嫌い養子を迎えようとしていた。実家のある鵠沼で、海に入って溺れかけた美由紀を助けようとして幸介がおぼれて死んだ。 「伴走者」:派遣社員の好美の次の職場の上司は新庄という女性だ。新庄は好美が付き合っている結城の妻で、浮気相手をつきとめて離婚するからと言われて応募したのだった。 「風の墓」:妻の時子と義両親から二世帯住宅を迫られている歴史教師の榎木は、逃れて出た街のギャラリーでガラス細工に魅せられ、その作家の女性を紹介されて作業場に通うようになる。 「洗足の家」:父の運転で母が亡くなり、同乗していた伯母も下半身不随になっていた。結婚が決まって、夜女子会の後洗足の家を訪ねると火が出ていて、伯母は救い出したが、叔父は亡くなった。 「至福の時」:恭平はスカウトされたモデルのバイトをやる気になって、六本木の事務所を訪れた。そこは、母が車の中で自殺した駐車場の近くだった。 「雪模様」:紀和は実家の妹を訪れて、妹が買物に出た間に、娘の誓子を連れて旅に出た。誓子は紀和が付き合っていた男と妹の間にできた子供だった。 6編中5編は不倫もの。4編が殺人もので、2作では事故を装って殺し、残り2作では自分が殺されてしまう。おもしろいことはおもしろいが、ミステリーの首なし死体や連続殺人はどうってことないが、人の悪意を見せられるのは気持ち悪い。「隣人」は小説推理新人賞受賞作。 |