村木嵐 |
マルガリータ |
マルガリータ 2013年11月4日(月) |
天正十年、九州の切支丹大名が南蛮国へ使節を遣わすことになり、十代の少年みげる、じゅりあん、まんしょ、まるちのの四人が選ばれた。八年後四人は長崎へ戻るが、その間に国は秀吉の世に変わっていた。みげるたちは天草、長崎の学林で修道士、そして司祭になるべく、学問を修める。戦で命を落とした武士の娘珠は、母とともに天主教の修練院で身の回りの世話をして働き、みげるを慕っていた。手足がしびれる病のため司祭への道をあきらめたみげるは、珠を娶って大村藩に仕える。時代は秀吉から徳川へと変わり、天主教への圧力が強くなるなか、みげるは棄教を果たす。 イエズス会による天正遣欧使節として派遣された4人の中で、一人棄教した千々石ミゲルの半生の謎に迫る歴史小説。資料がそれほど残ってはいないだろうから、ほとんど捜索ではないかと思うが、友情物語として読んでもおもしろかった。松本清張賞受賞作。 |