桃野雑派

老虎残夢      

老虎残夢 2024年8月16日(金)
 南宋の 時代、大海に浮かぶ八仙島の中心にある湖の中央に八仙楼という楼閣があり、蒼紫苑は武術の達人・梁泰隆のもとで修行していた。泰隆が奥義を授けることになり、その候補で泰隆の妹弟弟子である楽祥纏、蔡文和と古くからの盟友だという為門が招かれた。八仙楼の対岸にある屋敷で養女の恋華とともにもてなした後泰隆は一人楼へ戻るが、翌朝食事を持って訪ねると亡くなっており、腹に短剣が刺さっていた。紫苑は仇を討つと言って、舟に火をつけて全員を楼に閉じ込めた。
 中国で武侠小説と呼ばれる世界を舞台にした孤島ミステリー。真相は半分は途中で予想した通りのものだった。残りの半分は、この時代、モンゴル、金国、南宋の政情をめぐるもので予想外。江戸川乱歩賞受賞作。