宮城谷昌光

海辺の小さな町      

海辺の小さな町 2003年6月20日(金)
 宮城谷昌光は中国歴史小説を書いている人なので、全く無縁な人ではあるが、この小説は大学生を主人公にした青春小説。東京の高校生雄二は、両親から離れて海辺の町に住みたいという思いから、豊橋近くの町の大学へ進む。合格祝いに父から贈られたカメラがきっかけで写真にのめりこみ、同じアパートの金沢出身の啓という友人もできて、さらにいろんな人と出会っていく。写真に習熟していく過程は、あたかも人間的に成長していく過程のようでもある。カメラ雑誌に連載されただけあって写真中心だが、家族の謎や、恋愛模様、ミステリー事件もあり、テンポがよく読みやすい。登場人物も素直で勘がよく、性格のいい人、美人ばかり。明るく爽やかな青春小説だ。たまには、こういう楽しい読書もいいだろう。