三国美千子

いかれころ      

いかれころ 2022年7月26日(火)
 昭和58年の大阪・南河内の稲作農家の杉崎家。当主末松の母シズヲは後妻で、息子の末松を跡取りにしたやりて。四歳の奈々子の母久美子は分家で、隆志を婿にしている。本家には髪を肩まで延ばした幸明と精神を病んでいた志保子が残っている。その志保子に縁談が持ち上がった。その大人たちを、奈々子は冷静に見ている。
 昭和の河内のホームドラマという感じで懐かしく、おもしろくもあるが、それが今どうしてという気もする。おそらく、大人になった語り手奈々子が子供の奈々子として語っているのだろう。三島由紀夫賞 、新潮新人賞受賞作。