三上幸四郎

蒼天の鳥      

蒼天の鳥 2026年2月16日(月)
 大正十三年七月、鳥取県鳥取市。田中古代子は娘の千鳥を連れて、十三年前大ブームとなった活動写真「探偵奇譚 ジゴマ」を見ようと地元の浜村から訪れた。映画が山場にさしかかると突然火事になり、燃える銀幕から兇賊ジゴマが飛び出し隣にいた若い男を差して、古代子たちも追ってきた。千鳥の機転で逃れることができたが、千鳥は殺すところを見たから襲ってくるかもしれんと言う。そして再び賊が古代子たちを襲い、村には怪しい男たちが目撃されるようになる。文筆活動のため内縁の夫堂元とともに東京へ出ることになっていた古代子たちだが、その前に探偵になってジゴマの正体を突き止めることにする。
 事件の背後にはアナキズム運動があり、全容を解明してアリバイ崩しもできて事件は解決するのだが、千鳥が「私はここに残る。探偵だから」と言い出した。
 田中古代子と作家仲間として登場する尾崎翠は実在の当時注目された女流作家で、早逝した娘千鳥も天才詩人として遺稿集が残っている。作者は「名探偵コナン」、「特捜9」などをてがけた脚本家。江戸川乱歩賞受賞作。