松村栄子

僕はかぐや姫/至高聖所      

僕はかぐや姫/至高聖所 2019年4月14日 (日)
「僕はかぐや姫」:裕生は伝統ある女子高の文芸部の部長。文芸部は一人でいたがる者が集まっている場所で、彼女たちは自分のことを《僕》と言い、裕生は《うつむく青年》役を自分に割り振っていた。悠生は、《僕》を気取る自分の信条に着いて、もっと純粋で毅然とした固有の一人称が欲しいと思うようになっていた。
「至高聖所」:田園の中に作られた新構想大学の理系学部に入学した沙月の、学生寮のルームメイト真穂は二週間ほどして現れるとそのまま3日間ほど眠り続けて、夜中に起きるとサンドイッチを作らせて食べた。風変わりな印象だったが、意外に活動的で社交的な真穂の、学園祭に向けた演劇活動に引き込まれていく。
 廃刊になっていた26年前の海燕新人文学賞受賞作と芥川受賞作が復刊された。 「僕はかぐや姫」という題名に覚えがあったが、本はなくて読んではいなかった。「至高聖所」は廃刊のため読んでいなかった数少ない芥川賞受賞作品の一つ。ひところの若い女性作家はこんな感じだったなと思うような作品。