万城目学

鴨川ホルモー プリンセス・トヨトミ 偉大なる、しゅららぼん  

鴨川ホルモー 2009年3月29日(日)
 葵祭のエキストラのアルバイトの帰り、俺は同じ京大の新入生高村と知り合い、スガという男性から一緒に京大青竜会というサークルに誘われる。食費を浮かすためにコンパに参加した俺は、目の前に座った早良京子の鼻に一目惚れしてしまい、会に参加する。五百代目のメンバーになるという新入生はいつか十人になっていて、野外レクリエーション活動をしてきたが、祇園祭の宵山で青竜会の秘密が明らかになる。それは、京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックスの十人4チームで、なんと式神や鬼を用いてホルモーという対戦競技を行うというものだった。そして、疑心暗鬼のまま我々は鬼語の練習に励むようになった。
 陰陽道を取り入れた奇想天外なゲームに、恋の行方、話題作、話題作家 らしく、おもしろかった。森見登美彦と共通する部分はあるが、あちらの方が癖が強いようだ。

プリンセス・トヨトミ 2011年7月14日(木)
 会計検査院の調査官三名が大阪へ向かった。「鬼」の異名を持つ副長の松平、「ミラクル」と呼ばれる鳥居、そして日仏混血で長身の女性エリート旭・ゲーンズブール。大阪府庁などの調査を終えて、残ったのは「社団法人OJO」という団体。しかし、訪ねたビルには誰もいなかった。一方、大阪城近くの空堀商店街に暮す中学生真田大輔と橋場茶子は幼なじみ。女の子になりたいと願ってきた大輔は、ついにセーラー服で登校することにした。ある日、大輔は学校を早退させられ、父と大阪城へ向かう。
 大阪城の地下に「大阪国」の国会議事堂があり、父から息子へと受け継がれてきた何百万人という大阪国人が豊臣秀吉直系の王女を守っていて、なにかある時は立ち上がるという。大輔のセーラー服は直接流れとは関係ないが、いろんなエピソードがちりばめられていておもしろい。

偉大なるしゅららぼん 2014年6月7日(土)
 日出涼介は、高校に通うため、琵琶湖の湖西の実家から湖東の本家のある石走に向かった。その本家があるのは城で、日出家は人の心を操る術で長い間反映してきた。涼介も本家で術の修業をすることになった。本家には同級生の淡十郎と、格別の能力の持ち主で引き籠っている姉の清子がいて、手伝いに来ているパタ子こと濤子が涼介の師匠になった。高校の入ったクラスには日出家を長年敵対し、人の体を操る術で江戸時代剣術指南として栄えてきた棗家の広海がいた。そして新任の校長は、旧城主で日出家により追い出された速瀬家の子孫で、その娘も涼介の同級生だった。ある日、校長の速瀬が日出家に乗り込み、琵琶湖から出ていくように言い、術をかけて当主の淡九郎を仮死状態にしてしまう。
 学園超能力ドラマ、全体にとぼけた雰囲気がおもしろかった。