町田そのこ

52ヘルツのくじらたち      

52ヘルツのくじらたち 2023年10月4日(水)
 貴瑚は大分の田舎町の、祖母が住んでいた家に越してきた。家の修繕を頼んだ村中の話では、ヤクザに追われて体にヤクザに切りつけられた傷を抱えているという噂になっているらしい。ある雨の日、買物帰りに傘を飛ばされ、お腹の傷が痛んで涙を零した時、飛んで行った傘を差しだした少女と出会った。喋れないその子の薄汚れたシャツの袖の奥に見慣れた色を見つけて、家に連れて帰るとやはり虐待されていて、男の子だった。貴瑚も義父と母に虐待され、その上ALSを発症した義父の介護に明け暮れていた。ある朝、少年がやってきて一緒にご飯を食べてタブレットの使い方を教えると、毎日やってくるようになった。貴瑚は少年に、MP3プレイヤーに入っている、クジラの声、他のクジラには聞こえない52ヘルツで鳴く 孤独なクジラのことを教える。大切な人アンさんから教えられた「魂の番」が見つかるだろうか。
 貴瑚と友人美晴とその同僚アンさんとの出会いとその後の物語、愛という名の少年の母とその背景、いろんなドラマが錯綜して一つになっていく。おもしろかった。本屋大賞受賞作。