黒川創 |
かもめの日 |
かもめの日 2010年1月6日(木) |
誰かをつけ狙っているらしい絵理という名の少女と彼女に付きそう上層雲の研究員ヒデ。高層ビルのFMラジオ局。金曜夜の人気番組のナビゲーターをつとめる幸田、契約アナウンサーの西圭子、ADの森ちゃん。作家の瀬戸山は幸田の番組に朗読ドラマを書いている。瀬戸山の妻三崎千恵は西圭子の元同僚で、仕事をやめた後、ひと月半前に突然亡くなっていた。 FMラジオ局を舞台にした群像劇と、絵理とヒデのもう一つのドラマ、という脈絡のない感じだが、読み進むうちに登場人物たちの意外なつながりと生が見えてくる。タイトルは、女性初の宇宙飛行士、ワレンチナ・テレシコワの「わたしはかもめ」、そしてチェーホフの戯曲「かもめ」から。こちらは、イメージ的なつながりだけのような気もするが。読売文学賞受賞作。 |