黒田夏子

abさんご・感受体のおどり      

abさんご・感受体のおどり 2015年9月13日(日)
 「abさんご」:主人公は幼い頃母を亡くし、高名な学者らしい父と書物だらけの家で過ごした。何人目かの家事手伝いの人間が家を取り仕切るようになり暮らしづらくなり、大学に入ると家を出、そして父が亡くなる。自伝的な要素の濃い、ほぼこれだけのことが、何の感情もない、アラン・ロブグリエのようなヌーボーロマン風の粘着的な描写方法と言い換え語法で語られる。
 「感受体のおどり」:主人公は幼い頃から踊りを習い、師匠の月白、その弟の乙白への秘めた恋慕を抱き、また文筆で身を立てたいという希望もあり、定職につかず貧しい生活を送っている。これも自伝的な作品で、踊り関係の人物、物書き関係の人物、幼い頃の学校の友達、仕事先の人物といった膨大な登場人物とのエピソード、もののあわれ的なエッセイ、自身の生活への呪詛が、延々と綴られる。
 途中でやめようと思ったが、ようやくというかかろうじて読了。 横書きでひらがなの多い文体で非常に読みにくいということもあるし、内容にあまりにもおもしろくないということもある。最年長受賞ということで話題になった芥川賞受賞作。