久保寺健彦

ブラック・ジャック・キッド      

ブラック・ジャック・キッド 2011年12月4日(日)
 織田和也はブラック・ジャックになりたかった。単行本を暗記するまで読み、黒いロングコートを着て髪をギザギザにカットして、メス投げの代わりドライバー手裏剣を練習した。ある日突然母が出て行き、父と一緒に狭い団地へ移る。転校した小学校ではその恰好をからかわれ、一人遊んでいたドブ川で不思議な少女と出会う。夏休み、見つけた児童館で少女マンガ好きの宮内、読書好きの泉茜と知り合い、それから三人で付き合うようになった。
 小学校のクラスでの男子・女子の対立、お医者さんごっご、いじめ、初恋らしき出来事、運動会、学芸会と、小学生のエピソード満載で文句なしにおもしろかった。日本ファンタジー大賞優秀賞受賞作。川で出会う少女とのエピソードや泉が作ったお話がファンタジーと言えばファンタジーなわけだが、爽やかで明るくて元気な児童文学だ。