香月日輪

妖怪アパートの幽雅な日常@      

妖怪アパートの幽雅な日常@ 2009年1月24日(土)
 中学一年生の時両親を事故で亡くし親戚の家で暮らしてきた夕士は、就職実績があり寮もある商業高校へ合格した。家を出て技術を身につけて就職して独り立ちするのが夢で、東京の名門高へ進学する親友の長谷と別れて帰った夕士を待っていたのは、寮が火事で全焼という知らせだった。高校のある駅におりた夕士は、アパートをさがそうと思いつく。子供の声に勧められた不動産屋へ行くと、賄い付きで格安の物件を紹介される。ただし、オバケが出るということだった。翌日行ってみると、なんとファンの詩人一色黎明がいた。アパートには同じ高校に通う秋音という女の子もいた。
 住んでいる人間は詩人、除霊師の修行中の秋音、一見暴走族の画家だけで、大家さんも料理のうまいるり子さんも、人間のように生活している山田さんと佐藤さんも、いつも掃除をしている鈴木さんも、子どものクリちゃんと犬のシロも、怪しい雰囲気の骨董屋もカッコイイ霊能力者の龍さんも、みな妖怪や幽霊。ショックを受けた夕士だったが、次第に妖怪アパートでの生活になじんでいき、自立しようと頑なに生きてきた夕士の内側にも変化が起こる。
 妖怪や幽霊のキャラクターがおもしろいし、素直な夕士が成長していく様子も健気な感じで、楽しく読めた。シリーズものらしい。「しゃばけ」もそうだが、おもしろいからといって全部読んでいるときりがない。さてどうするか。産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞作。