米谷ふみ子 |
過越しの祭 |
過越しの祭 2005年2月18日(金) |
この人の作品は、だいぶ前読んだ「タンブルウィード」もそうだったが、アメリカへ移住した美術家道子と、結婚したユダヤ系アメリカ人作家アル、息子のジョン、ケンの家族の物語、というより短気なアルと勝気な道子の夫婦喧嘩というか文化摩擦を描いたものだ。また、同じアメリカでもニューヨークとカリフォルニアの違いとか、アメリカ社会のことにも触れている。ほとんど実話を脚色したものだろう。 「遠来の客」では、脳に障害を持つケンとの格闘、「過越しの祭り」では夫の親族とのあつれきやユダヤ教の宗教行事が描かれている。女の自由を求めてアメリカへ来たはずなのに、どこへ行ってもボーヴォワールのように生きることなんかできないと知らされることになる。実際は英語で話している道子の言葉が、大阪弁になっているのがおもしろい。 |