北原亜以子

恋忘れ草      

恋忘れ草 2003年5月29日(木)
 時代小説、歴史小説は全く読まないが、たまたま買ってしまって、いつまでも置いていてもしょうがないので読んでみた。
 著者が言うには「江戸のキャリアウーマンを書いた」とのこと。手跡指南、筆耕、娘浄瑠璃、小間物問屋の跡継ぎ娘、女絵師、料理屋の女主人、それぞれの女性を主人公とした連作形式の短編集だ。仕事は江戸で評判を取る才能あふれる女性たちなのだが、皆男にころりと転んでしまう。おもしろい人情話だが、男と女の話に帰着してしまうのでは、人生それだけなのという物足りなさも感じる。直木賞受賞作。