北林一光 |
ファントム・ピークス |
ファントム・ピークス 2011年9月24日(土) |
三井周平は妻の杳子の喘息のため、杳子が憧れていた安曇野の山村へ移り住んでいた。その杳子が山へ入って行方不明になり、翌年遺体で見つかった。警察は事故だというが、周平は何者かに襲われたのではないかと思う。その後、釣りに来ていた若者グループの女性や、帰省中の母と娘が行方不明になるという事件が起こった。また、熊が村に降りてきて人家を襲った。見つかった足跡は、ツキノワグマにしては巨大なものだった。 謎の生物による殺人という点では柴田哲孝の「TENGU」、正体が熊とわかると熊谷達也の「ウェインカムイの爪」といった作品があって、読んでいて既視感にとらわれる。それはそれとして、人物が魅力的で、最後のほうでミステリー的な要素が出てきたりしておもしろかった。作者は、次回作を残して癌で他界されたそうだ。 |