川越宗一 |
熱源 |
熱源 2023年6月8日(木) |
アイヌのヤヨマネクフは親友のシシラトカ、和人の父を持つ太郎治たちと樺太から北海道へ移り住み、和人の学校へ通っていた。時がたちヤヨマネクフは結婚し子供もできたが、コレラと天然痘で妻と多くのアイヌが亡くなり、子供を連れて樺太へ戻る。リトアニアに生まれたポーランド人ブロニスワフ・ビウスツキは、ロシア皇帝暗殺計画に巻き込まれてサハリンに流刑された。たまたまギリヤークと呼ばれる現地人と知り合ったことから、免業日のたびにギリヤークの集落を訪れ、言葉や風俗を学んでいく。刑期を終えたブロニスワフは、民俗学者として活動するようになっていた。 ロシア、日本、アイヌ、ポーランド人、樺太と錯綜して、なかなか読み進めなかったが、 ヤヨマネクフとブロニスワフの人生が交錯し、二葉亭四迷、大隈重信、金田一京助、南極探検の白瀬中尉が登場して後半は一気に展開する。 驚くのは、ヤヨマネクフもブロニスワフも実在の人物で、金田一京助との関わりも南極探検への参加も史実だということ。事実は小説より奇なりの事実を小説にしたようなもの。直木賞受賞作。 |