柏葉幸子

ミラクル・ファミリー      

ミラクル・ファミリー 2010年9月13日(月)
 ふだんはさえない中年のお父さんたちが、不思議な物語を子供に話して聞かせる。「たぬき親父」は、父の親が実はたぬきだったという話。「春に会う」は、春になると会社をさぼって河原へ出かける父の謎。「ミミズク図書館」は、たぬきやきつねの子のための図書館の話。「木積み村」は、父の同僚だった人の奥さんが家を出た謎。「ザクロの木の下で」は、兄妹の幼い頃の記憶からよみがえる不思議な出来事。「「信用堂」の信用」は、中学生の男の子が着つけ教室に通っている謎。「父さんのお助け神さん」は、助けてくれる代わり大事にしているものを持って行かれることを心配する父。「鏡よ、鏡…」は、洗面台のとなりにかけられた鏡の奇妙な用途。「父さんの宿敵」は、子供の頃どうしても勝てなかった宿敵の正体の驚き。
 どの物語も落ちとか謎解きがあって、ホロっとさせる。話だけならたわいもない作り話やおとぎ話で終わってしまうかもしれないが、落ちがうまいので大人が楽しめる作品になっている。