神山裕右

カタコンベ      

カタコンベ 2007年12月4日(火)
 大学で古生物学を研究している弥生は、深夜助教授の柳原に呼び出された。新潟のマイコミ平で発見された鍾乳洞の内部で死滅したヤマイヌの頭骨が見つかり、その鍾乳洞の調査への参加を要請されたのだ。同じ頃、ケイブダイバーの東馬も洞窟調査への参加を決意していた。5年前マイコミ平のヒスイ峡洞の地底湖で、東馬の不注意のため弥生の父水無月健一郎が命を落としていた。3日間の調査が許可され、ケイビングの専門家チームが編成される。そして当日、雨が降り出して危険な状況なのに、なぜか調査が強行され、弥生の第一アタック班は落盤で洞窟に閉じ込められてしまう。遅れて到着した東馬は、事故を知り、ヒスイ峡洞の地底湖から救出に向かう。
 洞窟探検という分野は珍しくておもしろかったが、この作品はミステリー、推理小説ではなく冒険小説だ。確かに過去の殺人事件や、登場人物の誰がどうかかわっているのかという謎はあるが、謎解き的な要素はほとんどない。ただ脱出劇とメンバー間の疑惑や葛藤を見るだけだ。密室トリックやアリバイトリックがなければミステリーじゃないというわけではないが、展開がテレビドラマを見ているようであっけない。最近の江戸川乱歩賞は、テーマのユニークさだけで選考する傾向があるようだ。選ぶほうも選ぶほうだが、応募するほうもどういう料簡で応募しているのか不思議でならない。