門井慶喜 |
幻銀河鉄道の父 |
銀河鉄道の父 2024年3月4日( 火) |
宮沢政次郎とイチに長男が生まれ、弟の治三郎が賢治と名付けた。政次郎は親の代から質屋と古着屋を営み、花巻でも有数の豊かな商家で、熱心な浄土真宗徒であり、後には町会議員も務めるようになった。賢治は長ずるにつれて成績優秀で、盛岡の中学に入学するが、質屋を継ぐのを嫌がり高等農林学校へ進む。仕事に就かず飴工場を作るだの、人造宝石を作るだの、途方もないことを言い出し、事あるごとに政次郎に金を無心するのだった。政次郎は厳しく言いつつも、結局は賢治を甘やかしてしまう。そして、日本女子大学校へ通っていた、賢治の愛する妹のトシが病に倒れる。 宮沢賢治を父政次郎の視点から描き、政次郎の人物像に焦点を当てた作品。賢治が教師を務めたり執筆活動をしたのは晩年の数年だけで、人生の大半は困った子供だったようだ。直木賞受賞作。 |