JACKSON BROWNE

 

THE PRETENDER
RUNNING ON EMPTY

 

THE PRETENDER  (Asylum Records:1976年) 2003年5月11日(日)

1. Fuse
2. Your Bright Baby Blues
3. Linda Paloma
4. Here Come Those Tears Again
5. Only Child
6. Daddy's Tune
7. Sleep's Dark and Silent Gate
8. Pretender
 ジャクソン・ブラウンの歌はやや難解だが、哲学的、社会的というよりは、思春期の逡巡に近いものだと思う。「THE FUSE」は抽象的な内容、「YOUR BRIGHT BABY BLUES」は若者のさすらいを歌っているが、この2曲はサウンドがかっこいい。「LINDA PALOMA」はリンダ・ロンシュタットのことを歌っているそうだが、メキシコ風でハープの音がきれい。「HERE COME THOSE TEARS AGAIN」はシングルカットされた、タイトなフォークロック。B面の3曲は個人的な思いを歌った曲のようだ。タイトル曲「THE PRETENDER」は、毎日の繰り返しの中で夢を忘れ、偽りの顔で金を稼ぎ消費する生活を送っているという曲。当時は聴くたびにジーンと来たのに、今は耳も心も偽りのフィルターがこびりついてしまったようだ。
 ギターを抱えて首をかしげた表情は、永遠の子供。前作に続くヘビーなアルバムはこれでおしまい、次作のロードアルバムでは明るい表情が見られる。

 

RUNNING ON EMPTY  (ASYLUM RECORDS:1977年) 2005年7月17日(日)

 1. Running on Empty
2. The Road
3. Rosie
4. You Love the Thunder
5. Cocaine
6. Shaky Town
7. Love Needs A Heart
8. Nothing But Time
9. Load-Out
10. Stay
 ツァーのライブと、ツァーの途中のホテルなどで録音されたアルバム。全体がコンサート・ツァーや旅をテーマにしたコンセプトアルバムみたいで、やはり夏休みという雰囲気の1枚。
 タイトル曲「RUNNING ON EMPTY」は、意味もわからず走り続ける人生を歌った、ジャクソン・ブラウンらしいちょっと重いロック。「ROSIE」は、ツァースタッフを主人公にしたラブソング。「SHAKY TOWN」と「NOTHING BUT TIME」もツァーの生活を歌ったもの。アコースティックギターの演奏がしゃれている。「THE LOAD OUT」はコンサートの終わりを歌った曲で、最後に聴衆に感謝のメッセージを告げている。そして、シームレスに続く「STAY」は恋人への歌だが、歌詞をお客に向けて書き直したもの。オールディーズ・ロックンロールのお手本という感じで、聴いていて心地良くて涙が出そうになる。
 「THE ROAD」はユニークなシンガー・ソングライター、ダニー・オーキフの、フィンガーピッキングとフィドルが印象的な曲。前半はホテルでの録音だが後半は巧妙にライブ演奏へつながっている。「COCAINE」は、リービ英雄の「星条旗の聞こえない部屋」で印象的に取り上げられていた、場末の窓から聞こえてきそうな曲。
 バックバンドは、JAMES TAYLORの「ONE MAN DOG」で注目されるようになったSECTIONとスチールギターのDAVID LINDLEYで、この演奏も聴きごたえがある。