逸木裕

虹を待つ彼女      

虹を待つ彼女 2019年9月19日(木)
 工藤賢はシステム会社で人工知能を使ったキャラクターソフトや囲碁ソフトを開発していた。亡くなった人を人工知能として蘇らせるという企画が持ち上がり、そのプロトタイプとして水科晴という女性が候補に上げられた。水科晴は六年前、渋谷のスクランブル交差点をドローンで襲い、そのドローンに銃撃させて自殺するという事件を起こしていた。仮想人格を作るため水科晴のことを調べ始めた工藤は、子供の時から自らを達観し、人工知能にも見切りをつけていたのだが、彼女の不思議な人間性にひきつけられていく。そんな時、「水科晴について嗅ぎまわるな。お前も殺してやろうか」というメッセージが届いた。
 主人公の工藤の性格ははっきり言って不愉快なのだが、AIを扱ったミステリー、なかなか興味深かった。横溝正史ミステリ大賞受賞作。