乾緑郎 |
完全なる首長竜の日 |
完全なる首長竜の日 2012年4月13日(金) |
和淳美は少女漫画家。自殺を図って昏睡状態になっている弟・浩市とSCインターフェースという機械を通じて意思疎通を行うセンシングを行うため、毎月西湘の病院へ通っている。長年書き続けてきた作品の連載が打ち切りになり、その頃から、幻覚のような不思議な出来事が起こるようになり、病院で眠りつづけているはずの浩市が姿を現す。 「このミステリーがすごい大賞」受賞作。幻想的ではあるが、どこがミステリーなのだろうと思いながら読んで行くと、なるほどという逆転。SFや幻想小説でない限り、あり得ないことが起きるとすれば、そういうことになる。『胡蝶の夢』やサリンジャーの『バナナフィッシュ』がキーになっている。 ラストに謎が残ったままで小説としては印象的な作品だったが、衝撃的なミステリーというわけでもない。 |