生馬直樹

夏をなくした少年たち      

夏をなくした少年たち 2019年8月20日(火)
 刑事・梨木拓海は遺体安置所で殺人死体を見て、「結局、死んだのか」と内心つぶやいた。そして、休暇をとり故郷へ帰った。小学六年、梨木拓海、紀本啓、榊雪丸、三田村国実の四人はいつもつるんで遊んでいた。そして国実には智里という四歳の妹がいて、いつも一緒についてきていた。近所には、二つ年上の東堂聖剣という変わり者がいた。小学校最後の夏休みの思い出作りに花火大会に出かけると智里も着いてきて、そしてなぜか同じ電車に聖剣も乗っていた。立入禁止の登山道に入ると、智里が蜂に刺され、四人は置き去りにして頂上を目指した。突然の雨に戻ると、智里が死んでいて、聖剣も倒れていた。その後四人はばらばらに別れ、二十二年の月日がたち、梨木は刑事として聖剣の死体を目にしたのだった。
 二十二年前何があったのか、そして聖剣はなぜ殺されたのか。梨木は、再び山に登り、そして紀本と再会する…。夏休みにふさわしいストーリーで、おもしろかった。新潮ミステリー大賞受賞作。