伊兼源太郎

見えざる網      

見えざる網 2015年11月28日(土)
 駅のホームが、ふだん見ない携帯電話を眺めている若い男たちで混んでいて、落とされそうになった。中学時代の友人で今は刑事の千春と墓参りに訪れた実家のお寺の帰りの信号待ちでも、携帯を眺めている大勢の若者に背中を押された。それまでと変わったことといえば、テレビの該当取材を受けてSNSに否定的な発言をしてそれが放送されたぐらいしか思いつかない。2ヶ所に共通していた少年を捕まえて聞くと、フローラ社というSNSの会社から「神託」を受け取って行動したのだという。
 ネットに否定的な発言をした人物をどう特定して、なぜそれだけで抹殺しようとするのか、非常に興味津々だったが、途中でハードボイルドになったのは残念。いくら実家のお寺で少林寺拳法を仕込まれていたとはいえ、そこまでできるかという感じもする。それと、動機、目的がいまいち理解しがたい。おもしろいことはおもしろかった。横溝正史ミステリ大賞受賞作。