市川沙央

ハンチバック      

ハンチバック 2025年11月26日( 水)
 釈華は、難病であるミオチュブラー・ミオパチーのため背骨が肺を押しつぶすほどに湾曲し、人工呼吸器と電動車椅子を使い、40過ぎだが大学の通信課程で学び、WEBメディアにいかがわしい記事を書き、SNSに暴言を吐き出している。親が遺してくれたグループホームの一室が終の棲家だ。ある日、男性ヘルパーの一人がそのつぶやきのことを攻撃してくる。
 主人公は作者自身を色濃く投影していると思われ、障碍者と健常者の問題、社会について語る。例えば、リベラルか保守化といった二分法では理解しきれない世界がある。この後どういう作品を書いていくのか気になる。芥川賞受賞作。