平山夢明

ダイナー 独白するユニバーサル横メルカトル    

ダイナー 2012年12月31日(月)
 携帯闇サイトで「求む運転手。報酬三十万円。軽リスクあり」という募集に応募すると、裏社会の金を強奪したようで、結局捕まってリンチにあい埋められて殺される寸前のオオバカナコ。買い手がついて連れて行かれたのは、ボンベロという男が仕切っている殺し屋専用の定食屋<ダイナー>だった。へまをすれば殺されるし、次々訪れる奇怪な殺し屋にいつ殺されるともしれない。
 残虐でグロテスクで生理的に受け付けないが、慣れてきたらおもしろかった。大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞受賞作。

独白するユニバーサル横メルカトル 2013年3月28日(木)
 表題作は、日本推理作家協会賞受賞作。語り手が地図というのはおもしろいが、あっと驚くようなトリックがあるわけでもない。「C10142(ニコチン)と少年−乞食と老婆」と、「無垢の祈り」は子供が主人公の残酷物語、「Ωの聖餐」と「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」は「ダイナー」と共通する裏社会のグロテスクな物語、「オペラントの肖像」と「卵男」はSF的で同じようなトリックの作品。「すまじき熱帯」はお笑い。「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」には多少の〈ロマンス〉があるかもしれない。それにしても、相変わらずグロテスク。