ヒキタクニオ

遠くて浅い海      

遠くて浅い海 2010年3月22日 (月)
 将司は消し屋。ただ殺すだけでなくその痕跡を消してしまう。将司という名前も買った戸籍のものだ。東京で一つの仕事を終えた将司は、その後始末がてら蘭子と沖縄を訪れた。那覇のリゾートホテルに小橋川という男から仕事の依頼があった。天眼圭一郎という天才を自殺させてほしいというものだった。将司は蘭子と天眼邸に滞在する。天眼邸には血縁の天才少女麻がいて、小橋川も天眼の従兄弟で元ヤクザだが今は天眼が発明した鎮痛薬にのロイヤリティを管理していた。将司は天眼の記録を読み、その頭の中へ入っていこうとする。
 おそらく結果は決まっているので、興味深いのは天眼の人物像と将司がどうやって自殺へ導くかというところ。終わってみれば確かにそうだろうとは思うが、ちょっと残念な結末でもあったシリーズ第2作だそうだ。作者は、この前「東京ボイス」という文庫本がちょっと話題になっていたようだ。大藪春彦賞受賞作。