畠中恵 |
しゃばけ |
しゃばけ 2007年6月14日(木) |
江戸の大店、廻船問屋長崎屋の一人息子一太郎は、生来病弱で過保護に育てられて、自分のために買い集められた薬種をもとに始められた薬種問屋を任されていた。一太郎に付き添う手代の佐助、仁吉は、実は犬神、白沢という妖だ。そして、一太郎の周りには、鳴家という小鬼や鈴彦姫、屏風のぞきといった付喪神がつきまとっている。ある夜、こっそり出かけた帰り、一太郎は人殺しを目撃してしまう。殺されたのは大工で、大事な大工道具を盗まれていたという。その後、店に命をあがなう薬をくれという男が現れ、一太郎に襲いかかった。その場に居合わせた岡っ引きの日限の親分が取り押さえたが、それ以来、薬種屋を狙う殺人事件が連続する。 別々の男達が同じような犯行を続ける謎、犯人が求めている薬の謎、奪われた大工道具の謎・・・、妖の力を借りて一太郎は事件に向かっていく。そして、一太郎が密かに出かける理由、一太郎の周りに妖がつきまとっている事情も・・・。江戸噺と妖怪談とミステリーが同時に楽しめる一作。「娑婆気」とは、俗世における欲気ということ。日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 |