橋本紡

猫泥棒と木曜日のキッチン      

猫泥棒と木曜日のキッチン 2008年1月28日(水)
 お母さんが家出した。十七歳のみずきは、種違いの五歳の弟コウちゃんと二人で暮らす。なんにもできないお母さんにかわって家のことをやってきたのでちっとも困りはしなかった。その日、いつもの交差点で猫の死骸を見つけた。次の日段ボール箱に入れて家に持ち帰って、庭に埋めた。そして、ある日また猫の死骸を段ボール箱に入れようとしていた時、みずきと健一は出会う。交通事故で足を怪我してサッカーをやめていた健一は、毎週木曜日みずきの家で夕食を食べるようになる。みずきは妻子持ちの教師脩さんに恋していたが、健一はみずきのことが好きになっていた。
 死んだ猫を埋葬し学校の先生に恋するみずきは、小学生か中学生の印象しか持てないし、健一が感じるみずきのなにかが欠けているところもあまり描かれていないように思うが、さわやかな少年少女小説とい感じで素直に読めた。