原尞

私が殺した少女 2005年4月18日（月）

　私立探偵沢崎が電話を受けて依頼先を訪れると、誘拐犯の連絡役として逮捕される。その後犯人から電話があって身代金の運搬役に指名され、指令のままに移動するうち暴走族風の男にじゃまされて、殴られて機を失っている間に身代金を奪われてしまう。誘拐されたのは天才少女バイオリニストだった。自分自身の容疑は半分晴れ、義兄で少女のバイオリンの先生にその子供たちの事件への関連の調査を依頼され、調査を進めるうちに事件の核心に迫るのだが、ことごとく、だまされたとか偶然とかで、振り出しに戻ってしまう。
　題名と直木賞受賞作ということで読んでみたが、携帯のない時代だからこそというシーンがやけに目立つ。ラストは当然のことながらどんでん返しとなるが、直木賞というほどかなという感じもする。沢崎もツッパリ過ぎだし、出てくる暴力団がどう関係するのかとも思うし。もちろん、基本的にはおもしろかった。