原浩

火喰い鳥を、喰う      

火喰い鳥を、喰う 2023年3月31日(金)
 久喜雄司が出張から帰ると、墓から太平洋戦争で亡くなった大伯父貞市の名が削り取られていた。そして、地元紙信州タイムスの女性記者与沢とカメラマン玄田が訪れて、パプアニューギニアの小さい村で貞市の手帳が見つかり、送ってもらったとのことだった。手帳に書かれた日記を読んだ後、貞市の弟である祖父保が「妙な感じだわな」と言い、玄田が「久喜貞市は生きている」と言った。そして合宿の帰りに寄っていた妻百合子の弟亮が日記に「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」と無意識のうちに書き込んでいた。その後、玄田がマラリアにかかって入院し、当時の事情を聞きに行った元部下の藤村が火災で重傷を負い、保が行方不明になるといった怪異現象が次々と起こる。百合子は『こういうことに詳しい人』に会ういい、雄司、亮と共に車で向かう。
 ミステリーとして読むと目茶苦茶な結末だが、最初から幻想ホラー小説だと思って読めばおもしろい。