伏尾美紀

北緯43度のコールドケース      

北緯43度のコールドケース 2024年6月2日(日)
 沢村依理子は北海道警察、札幌市の中南署刑事一課に勤務する警部補で係長だ。東京の大学院で社会学博士号を取得しながらある事情で退学し、就職もままならず、故郷の北海道に戻ってアルバイトをしている時見かけた警察官募集のポスターを見て応募したという変わり種だ。その管内で少女の遺体が発見される事件があり、DNA検査の結果四年半前誘拐された女児であることが分かった。事件は身代金を受け取って逃走した犯人が警備中の警官ともみあいになって電車にはねられて死んで、未解決のままだった。捜査の過程の問題で沢村は外され、創成暑生活安全課に異動した。 そんな中、誘拐事件の捜査資料がマスコミに漏洩するという事件があり、沢村にもその資料が送られてきた。リーク犯のスケープゴートにされて依願退職を迫られた沢村は逆襲に出て、もう一度誘拐事件の捜査を始める。
 目撃証言や関係者の証言を丁寧に洗い直し、事実を結び付け直し、真相に迫っていく過程がおもしろかった。たぶん続編が書かれるだろう。江戸乱歩賞受賞作。