深町秋生

果てしなき渇き

果てしなき渇き　2008年3月17日（ 月）

藤島は妻の浮気相手に暴行を働いて刑事を辞め、妻と娘とも別れて、警備会社で働いていた。ある夜、コンビニから通報があり、駆けつけると店員と客が惨殺されていた。１週間後、別れた妻から電話がある。娘の加奈子が帰ってこないという。マンションを訪ねると、娘の部屋には覚醒剤が残されていた。休暇をとった藤島は、中学時代の教師、予備校の友人、通っていたという精神科医を訪ねて娘の行方を探ろうとするが、不良グループと付き合い、薬をやり、売春をあっせんしているという彼女の姿が見えてくる。コンビニで殺されていた男は、その不良グループとつながりがあった。姿を消した娘の加奈子をめぐって、凄絶な争いが起こっていた。娘はどこに隠れているのか、それとも殺されているのか。 　ハードボイルドはどうしても好きになれないが、この作品は特に暴行シーンが凄惨で読むのがつらくて、何とか読み終えた。そもそもこの主人公は加奈子を取り戻すといきがっているが、すべての根源が自分にあることから目をそらそうとしている。読後感も不快。第３回「このミステリーがすごい」大賞受賞作。