藤石波矢

初恋は坂道の先へ 流星の下で、君は二度死ぬ。    

初恋は坂道の先へ 2019年8月14日(水)
 三日前宅配便で木崎海人という送り主から届いた本と一緒に、研介の彼女の品子が消えた。初恋の話をしたとき、故郷にいる、イニシャルはKくんと言っていた。「忘れられない人がいる。運命の出会いってあると信じてるんだ。」とも言っていた。田舎の町の中学生、しなこは敬愛する作家の日向鉄平の家で、風変わりな少年海人と出会う。海人は不登校児で、しなこもあることから保健室登校をしていた。研介は品子の故郷山梨へ会いに行くことを決意する。
 他愛のない青春小説ではあるが、ミステリーっぽいひっかけや伏線がしかけてあって、楽しく読めた。夏休みにふさわしい一冊。ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞受賞作。

流星の下で、君は二度死ぬ 2020年1月2日(木)
 火災で父が亡くなった後、みちるは関わりのある人が死ぬ予知夢を見るようになった 。最初は病気で休職中だった担任の先生、次は顔なじみの町工場の工場長、三度目は青森で漁師をしている祖父だった。家庭教師をしてもらっていた従兄の土岐は、予知を覆そうと言ってくれた。高校生になったみちるはまた予知夢を見た。その時は誰が死ぬのかわからなかったが、もう一度見た夢で見えた顔は、今はみちるが通う高校で用務員をしている土岐だった。みちるは予知夢を覆そうと奔走するのだが、死んでいたのは同じクラスの男子生徒だった。
 人の死の予知夢を見るようになった少女を巡る青春ミステリー。 何の伏線もなく最後真相が明らかになるのだが、正月休みにふさわしい楽しく読める作品だった。