遠藤武文

プリズン・トリック      

プリズン・トリック 2012年3月25日(日)
 市原の交通刑務所で受刑者の殺人死体が発見され、「石塚、死すべし。宮崎」と書かれた模造紙が貼ってあった。入れ替わりを疑った捜査陣が石塚の家族を当たると、石塚は事故で寝たきりになっていた。保険会社の滋野は宮崎の死亡通知を見て、かつて雑誌記者時代に関わって安曇野トマトファームの問題がよみがえってきた。そして、警察の捜査で、石塚への裁判所から呼び出し通知を配達したのが、宮崎が撥ねた村上諒子の夫であり、また刑務所に収監された石塚であることもわかってきた。そうした中、刑務所の刑務官だった野田が殺され、安曇野トマトファームの社長である安曇野市町も殺害された。
 刑務所の中で殺人事件が起こり、犯人と被害者が入れ替わっていて、しかも犯人の受刑者が別人だったという設定が興味深く、人物たちがどう結びつくのかと考えながら読んだ。ただ、最後のどんでん返しはなくてもよかったようにも思うが。江戸川乱歩賞受賞作。久し振りに、賞の名前にふさわしいミステリーだと思う。