阿泉来堂

ナキメサマ      

ナキメサマ 2021年2月19日(金)
 倉沢尚人の部屋を突然訪れた有川弥生という女性は、かつて恋焦がれた葦原小夜子が祖父が住む稲守村へ行ったきり戻らないので、一緒に連れ戻してほしいと言った。稲守村を訪ねると、小夜子は二十三年ぶりに行われる稲守祭の儀式の巫女を務めるため禊をしているとのことだった。夜神社へ行くと、奇声がして薄汚れた着物を着て悪臭のする化物のようなものが現れた。翌日、稲守祭を取材に来たという雑誌社の佐沼佳祐とホラー作家の那々木悠志郎が訪ねてきた。そして、異様に破壊された死体が見つかる。
 横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作。 ほとんど非現実的なホラー・ファンタジーだが、叙述ミステリーのトリック、そして最後の大どんでん返しとしては、乾くるみの「イニシエーション・ラブ」のパターンだ。